ストレスがまねく精神的病気
現代は重度のストレス社会、多くの現代人が「ストレス」を感じながら生活を送っています。
ストレスを感じる理由は、「煩わしい人間関係」「仕事の量や質」「時間に追われている」など様々で、誰もがストレスにさらされています。
ではまずは「ストレス」とは何か
「ストレス」とは「心身に負荷がかかった状態」と考えられています。
こころや体にかかる外部からの刺激をストレッサーといい、ストレッサーに適応しようとして、こころや体に生じた様々な反応をストレス反応といいます。
例えば、風船を指で押すと歪みますよね。この指が歪みを起こすストレッサーで風船の歪んだ状態をストレス状態といいます。
様々なストレスに犯された時、体には様々な兆候があらわれます。
- 全身症状:疲れやすい、体がだるい、気力がわかないなど
- 睡眠障害:入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒など
- 消化器系症状:食欲不振、胃の不快感、下痢、便秘など
- 循環器系症状:心臓がどきどきする、胸が痛くなる、不整脈など
- 筋肉系症状:肩がこる、首がこる、手足がだるい、偏頭痛など
- 感覚器系症状:目が疲れやすい、めまい、多汗、など
このような兆候があらわれたら、要注意です。
ストレスによって、ひきおこされる精神的な病気をご紹介しましょう。
うつ病
うつ病は気分障害の一種で、持続する悲しみ、不安などを特徴とした精神障害です。
脳内の神経伝達物質である「セロトニン」「ノルアドレナリン」が不足します。
うつの原因は「心因性うつ病」「身体因性うつ病」「内因性うつ病」に大別されます。
- 心因性うつ病:
- 心理的、社会的要因によって症状が起こる。
- 身体因性うつ病:
- 脳梗塞やパーキンソン病といった脳の病気、あるいは心筋梗塞や肝炎などの身体疾患を併発により症状が起こる。
- 内因性うつ病:
- 何らかの素因や体質、生まれながらの性格によって発症する。
症状のあらわれ方は、憂鬱、焦燥感、悲哀感、意欲の低下、自殺念慮などの精神症状が起こり、さらにうつ病になると身体症状があらわれるようになり、一番多いのは持病の悪化、食欲不振、頭痛、不眠などがあります。
うつ病は本人をはじめ、周囲もなかなか気づかなく悪化させてしまいます。
このような症状が当てはまるとしたら、もしかしたらうつ病のシグナルかも知れません。
あなたは、思い当たるようなシグナルがありませんか?
神経症(ノイローゼ)
神経症は、以前「ノイローゼ」と言われ、精神病と誤解しやすいですが、精神病は統合失調症、躁うつ病などをあらわし、神経症は「不安」や「焦燥感」による不適応行動を特徴とする精神疾患です。
一般的には人が気にならないことが、とても不安に感じ、日常生活に影響を及ぼします。神経症の多くは心理的ストレスで発症します。
では、代表的な神経症をご紹介しましょう。
- パニック障害:
- 突然不安に襲われ動悸、息切れ、呼吸困難などの死の恐怖を感じる発作が出る。
- 「全般性不安障害」:
- パニック障害のような不安発作ほどの症状がでないとしても、慢性的に不安な気分、極端に敏感になり常にびくびくしてしまう、落ち着きがないなどの精神症状や、動悸、発汗、吐き気などの身体的症状がある。
- 強迫性障害:
- 同じ動作や行動をしてしまう。または考えたくないのにある考えが浮かんで頭から離れられない。
- 対人恐怖症あるいは社会恐怖症:
- 自分が周囲や対人にどう思われているか変に思われていないかと恐怖を感じる。
- 解離性障害・転換性障害(ヒステリー):
- 本人自身が、気がついてない心のゆがみから起こる障害で感覚機能・意識に障害をきたす解離性障害と、運動機能に障害をきたす転換性型がある。
- 解離性障害
- まとまった人格が分離してしまい、症状として意識がもうろうとする、無表情、ある期間の健忘や疾患がないのに痴呆症状などがある。また同じ人物が2つ以上の人格を持つ多重人格がある。
- 転換性障害
- 運動機能・感覚機能などの身体に障害がおこり、声が出ない、立てない、けいれん、皮膚感覚の異常や視力の異常などがあらわれる。また頭痛、腹痛、めまいなどの症状があらわれ、症状が異常に誇張的で演技的に感じられるのが特徴である。
精神病は、神経伝達物質の分泌の働きが不具合で発症する内因性精神病とアルツハイマー病、脳腫瘍、脳血管障害により脳に障害をひきおこす外因性精神病があり、本人の自覚がない脳の病です。
神経症はストレスによる心因的要因で発症する病で、本人は自覚がある精神疾患で、精神病と神経症の大きな違いです。
神経症は誰でもおこり得る病気なのです。おひとりで悩まないで下さい。
心身症
心身症は、しばしば神経症と混同されますが、心身症はストレスが原因で身体に症状があらわれる身体疾患の総称です。
強いストレスを受けたり、精神の持続的な緊張によって、ある一定のパターンで症状があらわれます。
一般に、自分の感情を言葉に表現できない子供や感情を抑制しやすい人、または頑張りすぎる性格で何でも徹底してやりすぎる人に起こりやすい傾向があります。
自分の内的感情に気づきにくく、身体症状にだけフォーカスしがちです。
代表的な症状としては、胃潰瘍、過敏性大腸症候群、気管喘息、アトピー性皮膚炎、偏頭痛、円形脱毛症など症状は100以上の種類があるといわれています。
心身症の治療は、心理的、社会的側面からの影響による身体的症状なため、身体的治療だけではなく、心理面の両方からの治療をします。
心理面は抗不安薬などの薬物治療やカウンセリングなど、また身体の症状は、各病気に応じた治療方法が必要になります。
もしかしたら・・・と思い当たる身体的症状はありませんか?
誰もがストレスをうけています。
あなたもストレスをうけている、ひとりなのです。
適応障害
適応障害は、職場や学校などの人間関係、夫婦間の葛藤、恋愛、いじめ、受験の失敗など心理的・社会的ストレスが、その人にとってとてもつらく耐え難く、情緒面や行動に問題が生じるものです。
症状としては、頭痛、倦怠感などの身体症状をはじめ、抑うつ気分、絶望感、不安感、涙もろい、物事に敏感などの精神的症状。
また暴飲・暴食、無謀運転やけんかなどの社会規範から見て問題となる行動面の症状などがあります。
症状は個人のストレスの感じ方や耐性も大きな影響があるため、大人から子供まで現われます。
適応障害は、周囲に相談や支援になってくれる人がいない、孤立した環境、多忙などの環境の方が発症しやすいと考えられています。
また、そのストレスの内容が本人にとってどれだけ重要なのかによって、症状があらわれたり、あらわれなかったりします。
あなたが今いる、その環境はいかがですか?
おひとりで抱えていらっしゃいませんか?